安藤忠雄氏の展覧会

大阪のサントリーミュージアムで開催中の
「安藤忠雄建築展 2009―水がつなぐ建築と街・全プロジェクト」
を見てきた。


展示内容は水の都として大阪とベニスを挙げ、
両者を比較するというもの。
プロジェクトとしては大阪の方が壮大で面白そうだけど、
水の都としての規模はベニスの圧勝で、
そもそもの比較対象が桁違いすぎるんじゃないかというのが感想。
 
ただ、それ以外の建築はいい意味でも悪い意味でも非常に勉強になった。
入場してすぐのところにある大阪の中之島の模型は圧巻であった。
川の部分に実際に水を流しているのには驚いた。
模型の全長はおそらく10mはあると思う。
中之島のスチレンボード(かな?)製の白色の模型と対照的に
ベニスの方は木製の模型であった。
木で作ると建物としての重々しさがあって、非常に良い。
これらは今後の模型作りの参考になった。
 
その他の展示は安藤氏の作った水との関連がある建築についてであった。
氏の建築といえば、コンクリート打ちっ放しである。
一応、木造の建築もあるのだが、やはり安藤忠雄といえばコンクリ打ちっ放しである。
氏の建築に奇妙な曲線はなく、直線と円・楕円で構成されている。
その光景は壮観であるし、美しいのだが、
建築物が人工物であるという事実を否応なしにぶつけられるような感覚がする。
しかしながら、氏の建築はなぜか自然と調和している。
僕はこのことが不思議でならない。
冷たく硬いコンクリートが水面、周囲の緑と見事に調和して、
人工物であるにもかかわらず、なぜか大きな違和感を感じない。
非常に不思議である。
このような建築を将来作ってみたいと思った。
 
しかし、一部の建築はあまり好きではなかった。
なぜなら、周りの景観と明らかに隔たりがあるからだ。
それは山の中にいきなりコンクリートの箱ができたりするような隔たりではなく、
「えー、なんでー」
と思うような隔たりである。
「確かに、コンクリート打ちっ放しは安藤さんの代名詞かもしれないけど、
ここには使ってほしくないな」
という非常に個人的な好みの問題なのだが。
おそらく、僕が建築家になれば施工主との間に
当然のことながら、そういった亀裂が生じるだろう。
僕は自分のアイデアをどこまで押し通して、どこまで妥協するのかを
考えなければならなくなるだろう。
そういうことを考えさせられた。
 
今回の展示は、
そういったいろんなことを知る上で勉強になった。