アルカディア21

26日、丹波に行く道中、関大の教授が設計に関わった住宅地を見学した。
アルカディア21という兵庫県三田市にある住宅地である。
下の地図で青色矢印Aのところ。

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地図を見てもらえば分かるとおり、ここは三角形のである。
真中に広場のような空間があり、その周囲を三田市市道が通り、
その市道に沿って一戸建て住宅が並んでいる。
教授が担当したのはここの外構で、家ではない。
建築家というと、建物を造っているという印象しかなかったが、
外構についても土木系の設計家の人と協力して作っていくらしい。
 
さて、この住宅地でなによりもまず目に留まるのが道である。
石畳の道
石畳の道 posted by (C)ELB-S
石畳の非常にきれいな道である。
アルカディア21は機械を使わず、人の手で造り上げるということをモットーにしていたそうで、
これらの石はすべて手作業で並べられている。
教授曰く、この石のサイズは2人で運べる一番大きなサイズらしい。
これ以上大きくすると、重すぎて機械を使わないとダメなんだとか。
でも、この道の側溝の蓋は全部工場で作ったそうだ。
側溝はこの道の両脇の小さな石タイルに部分に当たる。
この蓋は取り外せず、等間隔におかれた、開閉可能な蓋から側溝の掃除をしたりするらしい。
この蓋をまるで手作業で作ったかのように、機械で作るのは大変だったそうだ。
 
また、この道、いや住宅地そのものの管理も非常に興味深い。
この住宅地を通る道は私道ではなく、公道(三田市が管理)である。
だから、本来ならここに植えている街路樹も市の管理なのだが、
ここでは住民が管理している。
「えっ?」と思ったが、このアルカディア21ではそれが自然であるらしい。
真中にある広場も、実は私有地で住民がみんなで土地を分割して、お金を払っているそうだ。
だから、やろうと思えば、広場を住民だけのものにもできる。
でも、あえてそれはせず、だれでも入ることのできる広場として使っている。
ここは住民の協力の下、成立しているといっても過言ではない。
 
今度は中央の広場に目を向けたい。
しかし、残念ながら広場の写真がないので、
広場の情景については僕の文章から想像していただきたい。
広場の中は芝生が生えている。
芝生の中にところどころ、雑草のようなものもある。
広場の周りは盛り土のようなもので囲まれ、そこには様々な樹木が植えられている。
この空間は非常に不思議である。
まわりの道の石畳独特のひんやりとした雰囲気とはまったく異なる。
僕はその場でこの空間の表現に困った。
今まで見たことのない空間であったので、
この空間に適切な表現が見つからなかったのである。
自宅に帰って、やっと適切な表現が見つかった。
この空間は人を「抱いている」。
この広場に入ると、何かに抱かれているような安心感があった。
初めてくる場所なのに、初めてではない感じがしたのだ。
不思議である。
 
アルカディア21には機会があれば、もう一度行ってみたいと思う。
 
以下、アルカディア21に関する写真
アルカディア21
アルカディア21 posted by (C)ELB-S
広場内のベンチ
広場内のベンチ posted by (C)ELB-S
花壇部分
花壇部分 posted by (C)ELB-S
(教授曰く、地面に巻き込まれていくようなイメージ)
小路
小路 posted by (C)ELB-S