なぜ60°なのか

今日の数学の時間の話。
なぜ、角度は360°なのか。
なぜ、もっときっちりとした数字ではないのか。
よく言われるのが、最初に正角(90°)があって、それを4個分で360°という考え方。
これは実際には間違っているというのが今日の数学の時間の話。
確かに90°は正角なのだが、これが最初にあったわけではない。
90°という角は作るのが非常に難しい。
きっちり90°を作るためには直角を正確に測れる定規が必要である。
もっと、簡単に作れる角度がある。
それは60°である。
ご存知の通り正三角形の一角である。
正三角形を作るのに必要なのは直線を引く道具とコンパスである。
任意の長さの線分を引き、その両端それぞれを中心とし、
線分と同じ長さの半径の円をコンパスで描き、
その結果できた2円の交点と線分の両端を結べば、
それが正三角形になる。
この方法は任意の線分に垂直な直線を引くことよりも簡単である。
 
さて、では、なぜ60°になったのであろうか。
最も基本となる角ならば、100°とかの方が覚えやすいのではないだろうか。
それなのに60°となった理由というのはアラブ人が60進法を使っていたからである。
今、我々が一般的に使っているのは10進法である。
コンピュータは2進法である。
アラブ人は60進法をつかって、表現していたのである。
なぜ、60進法なのか。
それは60が2でも3でも5でも割り切れるからである。
60は1桁の数字では2,3,4,5,6で割り切れることができる。
アラブ人はきっちり割り切れることを求め、
その結果、60が一番おさまりが良かったのである。
60は残念ながら7で割ることはできないが、
アラブ人はそこら辺は気にしていなかったようである。
今でも7等分することはあまりないように、
アラブ人も7等分というのはあまりしなかったようである。
 
アラブ人が60進法を使っていたから、正三角形の角は60°になり、
円一周は360°になったのだ。
 
というのが、今日の数学の時間の先生の漫談であった。