最近の読書

むかしガラスは光を蓄える

写真的建築論

写真的建築論

下村純一さんは建築写真家だ。
今まで「建築評論家」が書いた本は何冊か読んできたが、
「建築写真家」が書いた本はこれが初めて。
「やっぱ写真家がとると違うな!」という感じの
むちゃくちゃカッコいい、むちゃくちゃキレイな建築写真の数々と、
それに添えられた下村さんの短いエッセーで構成されている。
このエッセーがまたカッコいい!
明治から昭和のガラスのことをこの本では「むかしガラス」と呼んでいる。
現代のガラス観*1は、
ガラスとは透明でそこに存在しないかのような「無の存在」である、
という感じである。
確かにガラスの透明感は、「無の存在」と言うにふさわしい。
しかし、「むかしガラス」は今のガラスとはひと味違う。
「むかしガラス」には独特の厚みや重量感がある。
今の薄く透明なガラスには絶対にない独特の素材感があるのだ。
下村さんはその素材感を次のように表現している。


―光を透かすというよりは光を蓄えて自ら輝く白糸の滝―


こんなにまで「むかしガラス」を適切に表現した人が他にいるだろうか。
むかしガラスの独特の素材感をしる人ならこの表現がいかに適切かわかるはずだ!
そして、これは「むかしガラス」を知らない人にも十二分に
「むかしガラス」の魅力を伝えているのではないだろうか!


写真だけでなく、エッセーからも建築の魅力が伝わってくる。
それがこの本の醍醐味である。

銭湯からガウディまで―一眼レフカメラの建築観察日記

銭湯からガウディまで―一眼レフカメラの建築観察日記

こちら『銭湯からガウディまで』も下村さんの代表作である。
あわせて読みたい一冊である。
むかしガラス
むかしガラス posted by (C)ELB-S

お次、偉くロマンチックな題名

恋する建築

恋する建築

お次は今読んでいる本。
なにやらロマンチックな題名である。
「人と建築の関係は恋である」
と著者は考えているようだ。
いったいどんな関係なんだろうか。
なんとなくホンワリした感じがする関係だろうか。
これから読み進めていく。

*1:ガラスの感じ取られ方と捉えるたらOK