「比べられない」は使用不可

大昔から、疑問に思っていたことがある。
よく、ドラマなどで男女が口論しているときに、
女が
「私と仕事どっちが大事なのよ!」
と男に尋ねると、男は
「そんなの比べられない」
と答える。
この比べられない理由として、よくあげられるのが方向性の違いである。
ごもっともな回答であるかのように思えるが、
これは正しいのだろうか。
 
「大事」であるということを、そのことの重要性などの
いくつかの要素をもって、数値化したときを考える。
すると、「私」と「仕事」の「大事さ」はベクトルとして、
表すことができるのではないだろうか。
ベクトルとして表すことができたなら、あとの話は早い。
女は男にベクトルの長さの大小を問うているわけだから、
男は各ベクトルの長さを述べたらよいのである。
2つのベクトルがバラバラの方向を向いていようと、
その長さは比べられるのである。
ゆえに男の回答は正しくない。

 
というのを、ベクトルの問題を解いているときにふと思い出した。
この考え方はベクトルを専門にしている数学者に添削してもらったわけではないので、
正しいかどうかは分からない。
また、この考え方は「大事さ」というものがいくつかの要素に分解可能であり、
それらを数値化できるという仮定のもとに成り立っているから、
この仮定が立証できなければ、真偽を決めることはできない。