昨日の予告のやつ

昨日予告で柏崎の原発に関する話をするといってたので、
その話をします。
今どこのメディアでも、この原発はアカンだの、
職員はいったい何やとんねんだの、
会社はどう責任取るつもりやねん、
といった原発事故の酷評ばかりな気がします。
確かに、一見すると、職員やら会社の態勢がずさんだと、
思われる面もあるわけですが(化学消防車を配備してなかったとかね)、
全部を全部酷評するのはおかしいと僕は考えるわけです。


例えば、最初の段階で消防署が取れなかったこと。
これの原因は緊急時に連絡を取ったりする部屋のドアが開かず、
そのため、消防署への直通電話が使えなかったということです。
まあ、これで各メディアが批判するのは、
「なんで、もっと頑丈なドアにせんかったんや!」とか
「それにしても、消防車呼ぶのに時かりすぎやろ!」といった
内容なわけですが、これはっきり言って当て付けです。


まず、ドアについて。
ここで、重要なのがこの発電所の下にあった断層です。
この発電所を設計する段階では、この断層は活発な断層ではないとされていました。
もちろん設計士の人はこのことを念頭に入れて、設計をするわけです。
この設計において作られた発電所はもちろん耐震基準をクリアしています。
しかし、今回の地震では、この予想を上回る大きな揺れが建物を直撃した。
この揺れに対する耐震強度を満たしていない建物はもちろんのことですが、
大きな損害をこうむります。
当然です。
誰も予想していなかったことが起きたわけですから。
もし、この揺れが来るのを予想できていたのに、対処を取らなかったとしたら、
これは大責任です。
しかし、今回のドアの歪みは誰にも予想がつかない事態であり、
事前に対処するすべもないわけです。
ゆえに、このことに対して批判を加えるのは、
当て付けとしか言いようがないのではないでしょうか。


次に消防車をさっさと呼べなかったこと。
これは、前に説明したとおり、緊急時の消防署への連絡は、
あのドアが歪んで入れなくなってしまった部屋で取れるようになってたわけです。
この部屋にある直通電話が使えないとなると、
職員は携帯電話or普通の電話で連絡を取らなければならなくなります。
地震直後というのは、携帯も普通の電話も
非常に電波がつながりにくい状況に置かれます。
こんな状態で消防車を呼べるわけがなかろう。


このあと、消防署と連絡がつながったものも、
消防署の方はもちろんのことながらむちゃくちゃ大変なわけです。
そんなすぐに、現場に向かえるはずがない。
ゆえに消防署の方は原発側の消防隊で耐えてくれという。


この後の原発側の対応は、いろいろ問題ですね。
まず、施設に消火専従者が常駐していなかったこと。
もし、専従者が常駐していれば、次の消火の段階で、
適切な指示を伝えることができ、消防車が来てからの、
消火もスムーズに進めることができたはずです。
それに、このような施設に、化学消防車とかの
設備がないというのが驚きですね。


メディアというのは時に偏った報道をするといいます。
今回の報道では一部そのようなものが見られた気がします。
しかし、一部において、何の偏りもない事実を伝えている面もあります。
今回の報道においてもそれが見られました。
これは、仕方ないと言えば、仕方ないのですが、
メディアというものが持つ力を考えると、
できるだけこういうことを避けてほしいものです。


最後にまとめとして。
今回の事故の後、原発10社で行われた調査で、
設備が不十分な箇所が多く発見されました。
これでは、安心して住むこともできません。
僕としては、電力を作るとは、近代化に
おいて重要な役割を占めてきたものであり、
今後の環境問題といった分野でも、注目されるであろう
ことだと思っています。
そのような重要な位置を占めることが、
ちょっとした不注意や油断で非難の対象となるのは、
非常に心痛いことです。
今後のためにも、もっとしっかりとした態勢を整えてほしいものです。